今年2025年(令和7年)のお盆は、新暦の「月遅れ盆」にあたる 8月13日(水)〜16日(土) が正式な期間です。多くの地域では盆の入りとして13日夕方の迎え火、盆明けとなる16日夕方の送り火が行われます。そして、この期間は家族が集まり、仏壇やお墓でご先祖を偲び、静かに供養する数日間でもあります。
お盆とは、もともと仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という行事が日本の先祖崇拝と結びついたもの。ご先祖が帰ってくるとされるこの時期に、火を焚いて迎え・送り、仏前に供物を捧げるのが習慣です。
家族や親戚と再会し、普段はなかなか語りにくい祖先の思い出を伝え合う場として大切にされてきました。皆で集まることで、絆を深める機会ともなります。
お盆とは?

歴史・由来
「お盆」の起源は、仏教の法要である盂蘭盆会(うらぼんえ)にあります。これは、釈迦の十大弟子の一人である目連(もくれん)尊者が、餓鬼道で苦しむ亡き母を供養し救おうとした故事がもとです。目連尊者が亡母を救うために百味の食材を僧侶に供え、その功徳によって母が解放されたというこのエピソードは、中国での「盂蘭盆会」の普及に大きな影響を与えました。
この「盂蘭盆会」は、日本にも隋唐時代に伝わり、推古天皇14年(606年)にはすでに朝廷でも行われていた記録があります。その後、平安時代には仏教の法要と日本古来の祖先信仰が融合し、神仏習合の行事として定着しました。
また「盂蘭盆」という名称は、サンスクリット語の「ウラバンナ(逆さ吊りの苦しみ)」に由来し、餓鬼道で苦しむ者たちを盆を手にすることで救済しようという施饼(せへい)の教えが根底にあります。
やがて日本では、「盂蘭盆会」の形式が家庭にも広がり、現在では以下のような一連の習慣が「お盆」の象徴的な流れとなっています。
- 迎え火(おがら・盆提灯)でご先祖の霊を迎える
- 仏壇に花・果物・お菓子をお供えする
- 送り火で供養の終わりを告げ、ご先祖の霊を送り出す
季節と時期:「7月盆」と「8月盆」
- 旧暦7月15日に行う「7月盆」は、新暦にそのまま当てはめると7月13〜16日頃になります
- 明治以降、新暦とのずれを調整するために1ヶ月後ろにずらす習慣が広まり、これが現在の8月盆(旧盆)です
現在では、東京などの一部の都市部が7月盆を採用し、名古屋を含む東海・近畿・地方都市では8月盆が主流です。いわゆる“月遅れ盆”がほぼ全国標準となっています。
お盆の過ごし方:迎え火・送り火とお供え、墓参りまで
迎え火(8月13日夕方)
迎え火は、8月13日の*夕方17〜18時ごろ、玄関先や庭で「おがら」と呼ばれる麻の茎を焚いて行います。ご先祖が迷わず戻って来られるように、火と煙で道しるべとする意味があります。マンション等では火の使用が制限される場合もあり、盆提灯を灯して代用する家庭も増えています。
(*時間帯は地域や家庭によって異なりますので一般的な時間帯です。)
お供えと墓参り
13日以降、仏壇には花・果物・精進料理などをお供えし、家族で手を合わせます。14日〜15日には地域によっては棚経(僧侶によるお経)があげられ、また午前中にはご先祖のお墓参りを行うのが一般的です。
送り火(8月16日夕方)
盆の最終日である16日*夕方には送り火を行い、ご先祖をあの世へ送り出します。迎え火と同じ方法でおがらを焚き、火と煙で見送る慣習です。
(*時間帯は地域や家庭によって異なりますので一般的な時間帯です。)
手土産・お供えのマナー

お盆は、ご先祖への感謝を示し、家族や親戚が絆を深める大切な機会です。伝統に則った心遣いのある行動が、皆の気持ちを温かくつなげる手助けとなります。
お供え物と手土産は別に
- お供え物は霊への供養用、手土産は家族・親戚への挨拶用と分けましょう
手土産の選び方
- 相場は2,000〜5,000円程度が目安
- 個包装されており分けやすいものが好まれます(ゼリー、水ようかんなど季節感や清涼感のある品)
- のしは不要ですが、気を使いたい相手には「御挨拶」や「お土産」の蝶結びのし紙を使うのも良い
渡し方のマナー
- 「お口に合うか分かりませんが…」など、謙虚な一言を添えるとなお良し
- 家に通されたあと、仏壇へのお参りや挨拶の後で渡すのが正式です
- 紙袋から出し、袋は畳んで一緒に差し出すのが礼儀です
名古屋のお盆最新事情(市内・交通・施設情報)

公共交通・観光施設運行情報
● 名古屋市交通局、観光ルートバス「メーグル」は8月13〜15日の間、「土曜・日曜・休日」のダイヤで運行予定です。
● 市内の主要施設(市美術館など)、8月12日は休館・休園日の所が多いですが、ほとんどの施設は通常開館・開園しています。訪問予定の方はあらかじめ事前確認お願いします。
道路・交通渋滞対策
全国的に、8月9〜10日の山の日からの連休初日と、15〜16日の帰省ラッシュにかけて、東名・名神など幹線道路で渋滞が集中する見込みです。車利用の帰省者は、日程調整や早朝・深夜帯の通過を検討すると良いでしょう。
名古屋のお盆期間
8月13〜16日が旧盆、名古屋も全国標準に沿ってこの期間にお盆行事を行います。
最後に
お盆とは、仏教由来の供養儀礼と日本の祖先祭りが融合した、先祖への感謝を伝える大切な行事です。
8月13日夕方に迎え火を焚き、ご先祖を迎え、16日夕方の送り火で見送るこの習わしを通じて、家族との再会や静かな時間を過ごす機会にもなります。
名古屋でもこの期間を迎え、県外からの帰省者も多く見られます。
迎え火・送り火やお墓参りなど、お盆しかできない季節の営みに、ぜひ改めて触れるきっかけになれば嬉しいです。
