近年、旅行者の宿泊選びは「快適さ」だけでなく、「記憶に残る体験」や「その土地らしさ」を重視するようになりました。単なる「寝場所」ではなく、その土地の歴史・建築・文化に触れられる宿、という価値が見直されています。
特に、かつてランドマークだった建造物や歴史ある旅館・古民家を宿泊施設として蘇らせた「文化財ホテル」「古民家宿」は、建築そのものが“物語”であり、泊まることでその歴史を体感できる――そんな“泊まり旅”を求める人にとって理想的な選択肢です。
今回は、愛知県内にある、そんな「宿泊そのものが体験になる」4施設をピックアップ。目的や旅のスタイルに合わせて選べるバリエーション豊かな宿泊先をご紹介します。
宿泊施設紹介 — 4つの異なるスタイル
THE TOWER HOTEL NAGOYA — 都市に蘇るシンボルタワー
もともと1954年に建設された名古屋のランドマーク、旧 名古屋テレビ塔 を再活用。2020年、世界初の“泊まれるテレビ塔ホテル”として生まれ変わりました。国指定の「登録有形文化財」に登録されており、鉄骨むき出しの構造美とホテルの快適さが共存するユニークな宿です。
ホテルのコンセプトは「ローカライジング」。東海三県のアート・クラフト、地元食材による料理、地域文化とのコラボレーションが詰まった空間で、“泊まること自体が文化体験”になります。
全15室のスモールラグジュアリーホテル。鉄塔の構造を活かした客室や展望テラス付きスイートなど、どの部屋も特別感が強く、都市型観光・記念日・アート好きにもおすすめ。
都市観光とデザイン・アート好き、カップルや友人旅など、“名古屋らしい滞在”を楽しみたい人に最適です。
| 名称 | THE TOWER HOTEL NAGOYA |
| 住所 | 名古屋市中区錦3丁目6−15 先 |
| 予約サイト | 楽天トラベル Yahoo!トラベル |
角上楼 — 昭和元年創業・登録文化財の和風旅館
角上楼は昭和元年創業、愛知県渥美半島にある老舗旅館。現在は国の「登録有形文化財」に指定されており、木造・瓦屋根の和風旅館として、その佇まいや内部の造りに重厚な歴史と風格を感じられます。
また、渥美半島の海の幸を活かした会席料理 — 特に天然とらふぐや地魚など — と、伊良湖温泉による湯浴みが魅力。歴史建築 × 温泉 × 海の幸という三拍子が揃った、“和の贅沢宿泊”が楽しめます。
建物の造りや和室の静けさ、落ち着いた空間は、日常を離れて心身ともにリラックスしたい旅にもぴったり。
昭和・和の雰囲気を楽しみたい人、温泉や海の幸を目的にした旅、静かな和室宿泊を求める人におすすめです。
| 名称 | 和味の宿 角上楼 |
| 住所 | 愛知県田原市福江町下地38 |
| 予約サイト | じゃらん 楽天トラベル Yahoo!トラベル |
游月庵 — 犬山城下町に残る古民家を一棟貸切


游月庵は、築約100年とされる古民家をリノベーションした一棟貸しの宿。歴史ある城下町・ 犬山城下町 にあり、かつての町並みや風景を感じながら「暮らすように泊まる」体験ができます。
游月庵は、築約100年とされる古民家をリノベーションした一棟貸しの宿。歴史ある城下町・ 犬山城下町 にあり、かつての町並みや風景を感じながら「暮らすように泊まる」体験ができます。
宿泊形式が一棟貸しという点でプライベート感が高く、家族旅行・友人同士・ゆったり過ごしたい人に向いています。城下町散策との相性も良く、観光と宿泊をセットで楽しめるのが魅力。
静かで風情のある古民家建築、和洋折衷のインテリア、食や地域文化とのつながりなど、“日常からの離脱感”と“歴史との共生感”が心地よい宿です。
歴史好き・町歩き好き・プライベート重視の人、そして「ただ泊まるのではなく、住むように旅したい」人におすすめです。
| 名称 | 犬山城下町 古民家一棟貸の宿 游月庵 |
| 住所 | 愛知県犬山市犬山西古券13−8 |
| 予約サイト | 楽天トラベル |
蒲郡クラシックホテル — 三河湾と洋風城郭の歴史
蒲郡クラシックホテルは、1934年開業。城郭風の外観と、アールデコ調の内装・調度が特徴的で、古くから多くの旅行者を迎えてきた歴史あるホテルです。現在はその建築や歴史が評価され、「登録有形文化財」に認定されています。
海と自然、三河湾と国定公園の景観を望むロケーションも魅力。2024年には、歴史的建築をリノベーションした宿泊棟「THE COVE」も整備され、かつての洋館建築の風格を残しつつ快適な宿泊空間を提供しています。
クラシカルな雰囲気、海の景色、歴史建築が織りなす世界観は、都会の喧騒を離れてリラックスしたい旅にも向いています。
海辺・自然好き、クラシックホテルの雰囲気を楽しみたい人、歴史ある建築でゆったり過ごしたい人におすすめです。

旅のスタイル別おすすめシーン
| 旅の目的・好み | おすすめ宿 |
|---|---|
| 名古屋観光+デザイン・アート好き/夜景重視 | THE TOWER HOTEL NAGOYA |
| 和の旅館、温泉、海の幸、静けさを満喫したい | 角上楼 |
| 城下町散策、古民家ステイ、プライベート感重視 | 游月庵 |
| 海辺リゾート、クラシカルホテル、三河湾の景色 | 蒲郡クラシックホテル |
複数泊できるなら、「都会→城下町/海辺→古民家/クラシックホテル」といった“スタイルミックス旅”も面白いです。
“文化財宿泊”の魅力と、注意点
魅力
- 建物そのものが歴史資産 — 泊まるだけで“過去への旅”
- 建築・景観・地域文化・食・自然など、多層的な体験が可能
- 普通のホテルにはない、非日常感・特別感・記憶に残る時間
注意点
- 文化財建築ゆえに、設備やバリアフリーに制限があることも。古い建物の構造や階段など。
- 宿泊数や部屋数が限定されており、予約の取りにくさあり。
- 海辺・郊外の宿はアクセス不便 — 車または送迎手段の確認が必要。

まとめ
愛知県には、ただ“泊まる”だけではない、“宿泊そのものが旅の目的になる”場所がある。歴史ある建築を保存し、再活用した宿泊施設たち。
- THE TOWER HOTEL NAGOYA で都市の塔に泊まり、アートと夜景を楽しむ。
- 角上楼 で昭和の木造旅館に身を置き、海の幸と温泉に癒される。
- 游月庵 で古民家に暮らすように泊まり、城下町の散策と静けさを味わう。
- 蒲郡クラシックホテル でクラシカルな洋館ホテルに泊まり、三河湾を眺めながらリゾート気分を満喫する。
どの宿も、建築・立地・歴史・食・自然といった “土地らしさ” を体現しており、普通のホテルでは得難い“記憶に残る滞在”ができます。もし、いつもと違う旅をしたい、旅先でも“泊まる”を目的にしたい―そんな人には、ぜひこのような文化財宿泊を選んでほしいと思います。







