岐阜県大垣市――「水の都」と称されるこの街は、豊かな地下水に支えられ、今もなおいたるところに湧水が見られる美しいまちです。その中心に鎮座するのが、大垣八幡神社。長い歴史を持つこの神社は、地域の守り神としてだけでなく、大垣最大の伝統行事「大垣まつり」の舞台としても知られています。
「大垣まつり」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、国の重要無形民俗文化財にも指定されている由緒あるお祭り。毎年5月に行われ、八幡神社の例大祭を中心に、豪華な山車が市内を巡行し、町中が熱気に包まれます。大垣を訪れるなら、ぜひ足を運んでほしい神社のひとつです。
大垣八幡神社とは
アクセス


大垣八幡神社は、大垣市の中心部に位置し、公共交通機関を利用したアクセスも非常に便利です。最寄りのJR大垣駅からは徒歩約10分。駅の南口を出て、市街地を散策しながら向かうことができます。
神社周辺には道案内の標識もあり、初めて訪れる方でも迷いにくいルートです。道中には昔ながらの町並みや水路も見られ、大垣らしい風情を感じながらのんびりとした街歩きが楽しめます。
お車で訪れる場合は、神社の境内に隣接した無料駐車場を利用可能です(※台数に限りがありますので、特に祭礼時期は早めの到着をおすすめします)。また、大垣駅周辺にもコインパーキングが複数あるため、そちらを利用して徒歩で向かうのも便利です。
歴史的背景や由縁など


大垣八幡神社の創建は、建武元年(1334年)。奈良・東大寺の鎮守である南都梨原宮の御神霊を、手向山八幡宮からこの地に勧請し、安八郡大井荘藤江村(現在の大垣市藤江町)に祀ったのがはじまりです。
やがて宝徳3年(1451年)6月、僧侶遮那院条済によって、現在の大垣市外側町に社殿が遷されました。この遷座をきっかけに、遮那院は神社の別当職(神社の管理者)を代々務め、神社は大垣町および周辺の十八郷(大井荘十八郷)の総社として、広く信仰を集めるようになります。
この十八郷とは、かつて南都東大寺の荘園領であった大井荘の十八の村々のことであり、大垣八幡神社はその精神的・文化的中心としての役割を担ってきました。
その後も長い時を経て、大垣八幡神社は地域の守り神として、そして城下町・大垣の総氏神としての地位を確立。現在に至るまで、町の人々に深く敬われ、大垣まつりなどの祭礼を通じて、変わらぬ信仰と賑わいを伝え続けています。
見どころ


◆境内社も見逃せない
大垣八幡神社の境内には、複数の末社や摂社が鎮座しており、それぞれに異なる神様が祀られています。本殿参拝のあとは、ぜひこれらの神々にも手を合わせてみてください。
・大垣稲荷神社
商売繁盛・五穀豊穣の神として知られる宇迦之御魂神をお祀りしています。赤い鳥居が立ち並ぶその佇まいは、境内にあってもひときわ目を引く存在。地元の商人や企業関係者からも篤く信仰されています。
・龍田神社・廣瀬神社
風と水を司る神として、農耕や天候を守る信仰を集めるのがこの二社です。龍田神社には風神が、廣瀬神社には水神がそれぞれ祀られ、特にかつて水の都と呼ばれた大垣にとっては欠かせない存在でした。豊作や災害除けを願う人々の祈りが今も続いています。
・大垣龍神王
境内の一角には、大垣の湧水と深く関わる龍神信仰を今に伝える「大垣龍神王」の石祠もあります。龍神は水の守り神であり、大垣の豊かな水脈を象徴する存在。静かにたたずむその場所には、まるで水の気配が宿っているかのような神聖な空気が流れています。
◆境内の名水【自噴井戸】
大垣八幡神社の境内には、「大垣の湧水」として知られる自噴井戸があります。平成16年に整備され美しく整えられた井戸は、地下125mもの深さから自然に湧き出る清らかな水を湛え、その豊かな水量と澄んだ水質で参拝者を魅了します。
◆大垣まつりの山車が並ぶ場所として
5月の例大祭「大垣まつり」の時期には、境内に豪華絢爛な山車が集結し、その迫力と美しさに目を奪われます。からくり人形を乗せたやまが次々と披露される様子は、まさに圧巻。普段とは違う華やかな表情を見せてくれます。
◆大垣城とあわせて歩こう
神社のすぐ近くには、かつて西美濃の要として栄えた大垣城があります。徒歩5分ほどの距離にあり、境内を後にしてそのまま歴史散策へ向かうのにぴったりのルート。城と神社は歴史的にも関係が深く、城郭ファンや歴史好きな方は、ぜひ両方をセットで訪れてみてください。神社と城、両者の風格が、大垣という町の深い歴史を物語ってくれます。


大垣八幡神社の概要
名称 | 大垣八幡神社 |
所在地 | 岐阜県大垣市西外側町1丁目1 |
御祭神 | 応神天皇 |
創建 | 建武年間 |
URL | http://ogaki80003.or.jp/ |
