「一生に一度は善光寺参り」――そんな言葉が語り継がれるほど、長野県の善光寺は日本仏教の象徴的な霊場として知られています。その御本尊は、日本最古と伝えられる一光三尊阿弥陀如来像。
そんな善光寺の教えとご本尊のご分身を祀る場所が、ここ愛知県にもあるのをご存じでしょうか。それが「善光寺東海別院」です。都会の喧騒から少し離れた地にありながら、訪れた人々を優しく迎え入れてくれるこのお寺は、心静かに手を合わせることができる、まさに“東海の善光寺”ともいえる癒しの空間。
本記事では、善光寺東海別院の由緒や見どころ、アクセス方法などをご紹介しながら、心を整える名古屋の隠れたパワースポットの魅力に迫ります。
善光寺東海別院とは
アクセス


【公共交通機関をご利用の場合】
名鉄尾西線「森上駅」下車、森上駅からタクシーで約5分、または徒歩で約25分です。
【お車をご利用の場合】
名古屋市から約40分、境内または境外に、自家用車および大型バスが駐車可能な無料駐車場が完備されています。
歴史的背景や由縁など


善光寺東海別院は、長野・信州善光寺のご本尊「一光三尊阿弥陀如来」を祀る、東海地域の信仰拠点として1910年に創建されました。その歴史の始まりは、さらにさかのぼる戦国時代の逸話にあります。
天正十年(1582年)、織田信長とその嫡男・信雄によって、信州善光寺の御本尊が岐阜から尾張甚目寺へと遷される途中、この祖父江の地に一時立ち寄ったという言い伝えが残されています。これが、後の善光寺東海別院建立の源となるご縁です。
それから約300年後、明治42年・43年の頃、この地にある蓮田にて“一本の茎から二つの花が咲く”という不思議な現象(奇瑞)が現れました。この瑞兆を仏縁ととらえた開基・旭住上人は、信州善光寺本坊大勧進より正式にご本尊の勧請を受け、善光寺東海別院を建立しました。
以来、祖父江の地に根ざし、善光寺信仰を東海地域に広める拠点として、多くの参拝者の心の拠り所となってきました。
見どころ①戒壇巡り


善光寺東海別院を訪れたなら、ぜひ体験していただきたいのが「戒壇巡り」です。これは、ご本尊・一光三尊阿弥陀如来の真下にある暗い回廊を、お念仏を唱えながら静かに歩むという特別な巡礼体験。
戒壇巡りの道中は、光の一切届かない真っ暗闇。ただ前を見ても、足元を見ても、何も見えない漆黒の世界に身をゆだねます。その中でただ一つ、目指すのは「極楽往生結縁の錠前」。この錠前に触れることで、如来さまと縁を結び、善根を得るとされています。
見どころ②涅槃像/鐘楼


目を引くのが堂々とした鐘楼と、その下で静かに横たわるお釈迦様の涅槃像です。
この鐘楼は、令和2年(2020年)11月28日に新たに建立されたもの。釣鐘は美しく金箔が施されており、晴れた日には黄金色に輝き、まさに極楽の景色を思わせる神々しさです。
そしてその足元には、お釈迦様が入滅(亡くなる)された「涅槃」の姿を模した涅槃像が安置されています。目を閉じ、穏やかな表情をたたえたお釈迦様の姿は、見る人に深い安らぎを与えてくれます。
この涅槃像には、「お参りするとポックリ逝ける」といったご利益があるとも言われています。大往生を願う人々にとっては、“苦しまず安らかに”という祈りが込められた、まさに特別な場所です。
善光寺東海別院の概要
名称 | 善光寺東海別院 |
所在地 | 愛知県稲沢市祖父江町祖父江南川原57−2 |
創建 | 1910年 |
URL | https://www.zenkoji.com/ |
