NHK大河ドラマ「光る君へ」に登場する安倍晴明。実は、彼が名古屋市千種区に住んでいたことをご存じでしょうか?野村萬斎主演の映画『陰陽師』で名前を耳にした方も多いかもしれません。その安倍晴明を祀る晴明神社が、名古屋にあります。今回は、この神秘的な神社をご紹介します。境内では、陰陽師にちなんだ五芒星や、歩法「禹歩(うほ)」などを見ることができます。
晴明神社
晴明神社について
地下鉄名城線「ナゴヤドーム前矢田」もしくは「砂田橋」より徒歩15分ほど、バンデリンドームナゴヤの南側にあります。晴明神社用の駐車場はありませんが、近隣には多くのコインパーキング場があります。
987年頃、安倍晴明は尾張国狩津荘上野邑、現在の名古屋市千種区あたりに住んでいたと伝えられています。当時、この地域の人々はマムシやヘビの被害に悩まされていましたが、安倍晴明はその神秘的な力を用いて、見事にこれらの害を封じたとされています。
月日が流れ、1778年、この地は再びマムシやヘビの被害に見舞われました。そこで、地域の人々は安倍晴明の神霊を祀ることにしました。これが、晴明神社の起源となります。
名称 | 晴明神社 |
所在地 | 名古屋市千種区清明山1丁目6 |
御祭神 | 安倍晴明 |
晴明神社の逸話
神秘的な力を持っていた阿部晴明には、数々の逸話が残っていますのでいくつかご紹介いたします。
①明治から昭和期にかけて、名古屋市千種区の清明山一帯は、陸軍第三師団歩兵第三大隊の演習地でした。その際、軍が晴明塚や晴明祠を動かしたり、一部を破壊したりしたことがありました。その夜、兵士23人が原因不明の高熱にかかったと言われています。この出来事以降、軍は晴明塚や晴明祠の取り扱いに細心の注意を払うようになり、それ以来、高熱を発する者は出なくなったと伝えられています。
②敗戦後、名古屋市千種区の清明山一帯に県営住宅を建設している最中に、同じ場所で二度も不可解な事故が起こりました。これらの事故は、通常では考えられないようなものでした。土地の由来を調べることなく、晴明塚を壊し、晴明祠をどこかに移してしまったため、地元の人々からは「祟られても仕方ない」と言われました。その後、土地の人々が神社の歴史や由来を尊重し、お祓いを行ったところ、不思議なことに事故はなくなったと伝えられています。
上野天満宮:阿部氏一族による創建
合格祈願のパワースポットであり、名古屋三大天神の1つである上野天満宮は、阿部晴明の一族が菅原道真を慕って祀られたのが上野天満宮の起源とされています。
最後に
日本各地には、陰陽師・安倍晴明にまつわる数多くの地が伝えられています。晴明の名が刻まれた神社や居住地、晴明塚、さらには修行の地などが点在しています。
名古屋市やその周辺地域にも、晴明にゆかりのある場所が数多く存在します。愛知県蟹江町には「晴明塚」があり火伏の祈祷を行ったとされ、新城市の「阿寺の七滝」では晴明が修行を行った場所として知られ、多くの訪問者を惹きつけています。このように、名古屋周辺にも安倍晴明の足跡が色濃く残されています。