6月7日(土)・8日(日)、名古屋市東区・出来町/筒井町で開催された「天王祭」。
名古屋の初夏を告げるこの歴史あるお祭りは、毎年地域の人々や観光客でにぎわいます。
今年(2025年)も色鮮やかな山車が街を練り歩き、威勢の良い掛け声とともに地域の熱気があふれる2日間となりました。さらに会場周辺には約100軒もの出店が立ち並び、グルメや縁日を楽しむ家族連れや友人同士の姿が数多く見られました。
本記事では、そんな2025年の出来町/筒井町 天王祭の様子を振り返りつつ、来年訪れる際の楽しみ方や見どころもあわせてご紹介します。
出来町/筒井町天王祭とは


歴史や由来
出来町天王祭・筒井町天王祭は、名古屋市東区・出来町と筒井町の町衆によって受け継がれてきた歴史ある山車祭りで、地域の疫病除けや五穀豊穣を願う天王信仰(津島天王信仰)に由来しています。
その起源は江戸時代初期から中期にさかのぼり、当初は津島神社への信仰から発展した祭礼として行われていました。祭りの際には、各町内が所有する豪華絢爛な山車を曳き出し、からくり人形の妙技や華やかな飾り付けで街を彩ります。
長い歴史の中で、祭りは幾度となく火災・戦災・社会状況の変化などの影響を受けながらも、地域の人々の手によって保存・復興・継承が続けられてきました。
現在では、出来町からは鹿子神車・河水車・王羲之車の3輌、筒井町からは神皇車・湯取車の2輌が参加し、計5輌の山車が揃って曳行される姿は名古屋の初夏の風物詩となっています。
特に各山車の精巧なからくり演技は、今も多くの見物客を魅了し、地域文化の象徴として大切に守り伝えられています。
◆ 鹿子神車(かしかじんしゃ):昭和48年市有形民俗文化財指定
宝暦11年(1761年)制作。西之切の山車。
孔雀の刺繍が美しい水引幕、漆塗りや金具が豪華で、大将や唐子による逆立ちと小太鼓の掛け合いが名物。文化財に指定されています。
◆ 河水車(かすいしゃ):昭和48年市有形民俗文化財指定
寛文2年(1674年)に産宮車として制作、石橋車から譲受して改名。
勇壮な獅子舞からくりが見どころで、唐獅子と牡丹の刺繍が施された幕も見事。
◆ 王羲之車(おうぎししゃ):昭和49年市無形民俗文化財指定
寛保年間(1741〜1744年)制作、戦災で焼失後再建。
親子木偶の高度なからくり演技が見事で、無形民俗文化財に指定されています。
◆ 神皇車(じんこうしゃ):昭和48年市有形民俗文化財指定
文政7年(1824年)制作、三之丸天王祭の見舞車として作られ、後に筒井町に購入。
朱色の装飾と十二支刺繍の水引幕、神功皇后や巫女などのからくり人形が特徴。巫女が鬼面に変化する演出が圧巻です。
◆ 湯取車(ゆとりぐるま):昭和48年市有形民俗文化財指定
万治元年(1658年)制作で、現存する中で最も古い山車のひとつ。
雲龍や麒麟・鳳凰などの刺繍幕、鼻をこする仕草が可愛い太鼓・笛吹き人形が乗り、巫女が「湯取り神事」を演じるからくりが見どころです。
2025年の開催概要
イベント名 | 出来町/筒井町 天皇祭 |
開催期間 | 2025年6月7日(土)~8日(日) |
主なルート | 徳川園内(5車揃)、建中寺、各町内 |
出店 | 祭り会場周辺には、約100軒もの露店 |
URL | https://higashiku-dashi.or.jp/ |


今年の祭りの様子


📸 山車の躍動と囃子の調べ
祭り当日は、5輌の山車(鹿子・河水・王羲之・神皇・湯取)が町内を練り歩き、それぞれの精巧なからくり人形が次々に演技を披露。小唐子の逆立ちや小太鼓を打ち鳴らし、中唐子の団扇太鼓を乱打し、大将が軍配を高らかに振る迫力ある演出が見応え抜群。また、獅子舞からくりが、唐子が獅子頭をかぶり激しく首を振りながら舞う勇壮さに、観客から大きなどよめきが上がりました。
徳川園での山車揃えでは、5輌が勢揃いし、それぞれのからくりが順に披露される迫力満点の“伝統芸術ショー”に歓声、そして各山車に合わせて奏でられる生演奏の囃子 ─ 太鼓・笛・鉦によるリズミカルな調べが街中に響き渡り、祭り本来の臨場感をさらに高めていました。
🧑🤝🧑 担ぎ手・衣装・観客の賑わい
担ぎ手たちは揃いのハッピ姿で山車を操り、交差点ごとに華麗な方向転換が繰り返されるたび、観客から拍手と歓声が沸き起こり、特に親子連れやおじいちゃん・おばあちゃん世代まで幅広く参加し、皆で山車の曳行に声援を送る光景が随所で見られました。
🍡 食べ歩き&露店グルメ
会場周辺には約100軒の露店が並び、たません・味噌串カツ・かき氷など名古屋の定番グルメから、射的やスマートボールなど縁日遊びまでバラエティに富んだラインナップ。私自身もたませんとビール片手に小休憩しながら、立ち止まって囃子とからくりの音に耳を傾ける合間に食べ歩きを満喫。
✍ 筆者の感想・印象
特に印象的だったのは、生演奏の囃子の力強さと、からくり人形の一瞬一瞬に込められた手仕事の美しさ。子ども提灯の灯る宵祭の雰囲気、山車が方向転換するたびに自然と湧き上がる歓声…どれも心を打たれる風景でした。
🎯 家族連れ・観光客へのおすすめポイント
- 生演奏とからくりのライブ感を間近で楽しみたいなら、山車の方向転換箇所近くで待つのがベスト。
- 縁日遊びやご当地グルメを存分に味わうなら、昼下がりの12〜14時が混雑も比較的落ち着いておりおすすめ。
- 撮影派の方へ:宵祭の提灯が灯る中、夕暮れ〜日没にかけての山車の姿は絶好のシャッターチャンス。
- 小さなお子さん連れには:建中寺公園では、食べ歩き&縁日で楽しませつつ、山車が通る観覧するとゆったり観れます。
全体を通して、“五輌競演+囃子+食べ歩き”という情緒と賑わいが揃い、とても充実した祭り体験でした。
